論点別コラム子ども医療費助成と受診
子ども医療費助成で受診が増えることと、子どもが健康になることは別の問い
窓口負担が0円になると子どもの通院が増える、という報告は日本の研究で方向がそろっていますが、同じデータや同じ研究グループの結果を含み、増え方も年齢・時期・負担の差で違うため、どの自治体でも同じだけ増えるという予測にはなりません。そのうえで、増えた受診がどんな受診か、入院や健康がよくなったか、受診を控える家庭が減ったか、親の負担が軽くなったかは、それぞれ別の問いで、答えの確かさも違います。
5つの問いを分けて読みます
このコラムで扱うのは、助成で受診の量が変わるか、増えた受診の中身は何か、入院や健康が変わるか、受診を控える家庭が減るか、親の心理的な負担や家計の危険が変わるか、の5つです。研究によって使ったデータ(健康保険の請求データ、国の世帯調査、自治体の生活実態調査)と対象年齢が違うため、同じ「効果」でも測っているものが異なります。
0円になる場合や助成の対象から外れる前後を見た研究では、外来の利用が増える方向で報告されています
大企業の健康保険組合の請求データ(2005〜2015年)で7〜14歳を見た研究は、3割から0円になると月に1回以上受診する確率が6〜8ポイント上がったと報告しています。同じデータの別の論文は、ちょうど0円になると少額の負担が残る場合より受診が段差をもって増えたと報告しています。全国の請求データで助成が終わる年齢の前後を比べた研究(2018〜2022年)は自己負担がないことと外来の受診日数の多さとの関連を、都市部33市区町村の0〜6歳児の研究は外来の利用の増加を報告しています。逆向きの設計では、同じ研究代表者の報告(2018〜2023年度)と、都市部の国民健康保険の小学2〜4年生を4年生で対象から外れた直後の2年間見た研究が、助成の対象から外れると外来が減ったと報告しています(助成を始めたときの効果とは分けて読みます)。北海道の1市の未就学児の研究は、0円と1割負担の差から、負担が1%高いと外来の利用が約0.23%少ない(価格弾力性-0.23)と推定しています。このうち7〜14歳の2本は同じデータ、2018年以降の2本は同じ研究代表者の同種のデータで、独立した追試としては数えられません。一方、ある県の国民健康保険の研究は、自己負担に月ごとの上限を設ける仕組みでは外来・入院の医療費に有意な影響がなかったと報告しています(薬の自己負担をなくす仕組みでは処方薬の支出が全体で116%、健康状態のよい子どもで121%に増え、健康状態のよくない子どもでは増えませんでした)。増え方の大きさは研究ごとに違います。
時間外受診は助成があると多い方向でそろい、抗菌薬は報告が分かれます
2005〜2015年の請求データの研究は、増えた利用に時間外受診と不適切な抗菌薬の使用が含まれると報告しています。2018〜2023年度の保険者データの報告は、助成の対象から外れると時間外受診と、抗アレルギー薬・気管支喘息の薬の処方が減った一方、抗生物質の処方回数の変化は有意ではなかったと報告しており、変化の中身は指標ごとに違います。小学4年生で対象から外れた子どもの研究は、外来の減り方が軽い病気や慢性の病気で大きかったと報告しています。
入院全体の減少は確認されず、一部の集団と指標で改善が報告されています
国民生活基礎調査(1995〜2010年)の研究は未就学児・学齢児のどちらでも入院が減らなかったと、2005〜2015年の請求データの研究は回避可能とされる入院の減少も短中期の健康の改善も見られなかったと報告しています。2018年以降の全国の請求データの研究と報告でも、入院の利用に変化は確認されませんでした。都市部の0〜6歳児の研究も、入院全体の利用にほとんど影響がなかったとしています。小学4年生で対象から外れた子どもの研究では入院の利用が増えましたが、著者はこれを健康の悪化とは区別し、外来から入院への置き換えと報告しています。診断群分類(DPC)に参加する病院の入院を市区町村ごとに2年間集計した研究は、入院全体の件数には有意な影響がなく、所得の低い地域では入院や救急入院などが減り、所得の高い地域では入院が増えたと報告しています。健康の面では、国民生活基礎調査の研究が未就学児では主観的な健康の改善と関連し、学齢児では同様の改善は見られなかったと報告しています(個々の受給の有無の代わりに、都道府県単位の対象確率を使った分析です)。都市部の0〜6歳児の研究は、保護者が答える症状の減少と、1歳未満に限った退院時の転帰と死亡率の改善、1歳未満で手術を受けた子どもの在院日数の延びを報告しています(内容は2019年の作業論文版で見たもので、2022年の掲載版とは細部が異なる場合があります)。
3都県の中学2年生では、3割負担や償還払いの自治体で受診控えが多いと報告されています
東京都・長野県・広島県の生活実態調査を統合し、ふたり親で生活保護を受けていない世帯を分析した研究は、中学2年生では、3割負担の自治体と、いったん窓口で費用を払い後から助成を受け取る償還払いの自治体で、0円の自治体より受診控えが約2倍の確率で起きていたと報告しています。小学5年生で関連が見られたのは経済的に厳しい層に限られ、償還払いの関連は理由が「多忙」の場合に限られました。定額の負担では、結果が一貫しませんでした。北海道の14市町村の2時点の調査では、助成ができた地域・学年で受診控えの割合が下がった例が報告されていますが、2021年は新型コロナの流行期で、助成の影響とその時期の変化が重なっています。どちらも保護者の回答で、控えた受診が必要だったかは測定の対象外です。
受診の増え方は、所得の高い世帯で大きかったという報告があります
全国の請求データで助成が終わる年齢の前後を比べた研究は、自己負担がないことと関連した外来の受診日数の増え方が、世帯所得の高い子ども(年5.96日)で低い子ども(年2.64日)より大きかったと報告しています。助成が終わる年齢の前後に限った比較で、対象年齢を引き上げたときの効果とは分けて読む必要があります。所得の低い地域で入院が減り高い地域で増えたとする地域別の研究とは、対象も測り方も違います。所得による違いは、一方へまとめられる段階にありません。
親の心理的な負担の改善は、1本の討議用論文で報告されています
青森県の生活実態調査(2018年と2023年)を使った経済産業研究所の討議用論文は、無償化を導入した市町村で親の心理的な負担の尺度が改善し、子どもの健康や医療へのアクセスには有意な影響がなかったと報告しています。改善は主に所得が上位半分の世帯と小学生の親で見られ、中学生の親では有意な効果は確認されませんでした。調査は2時点の比較で、同じ人を追う設計とは異なります。家計については、大企業の健康保険組合の請求データの研究が、窓口負担0円と比べ、1回2米ドル程度の少額の自己負担では家計の金銭的な危険はあまり増えなかったと報告しています。月ごとの上限を調べたある県の研究は外来・入院の医療費に有意な影響がなかったと報告しており、家計の危険は見ていません。家計の医療費の支出額がどれだけ変わったかを直接測った研究は、今回確認できませんでした。
対象年齢の高い自治体で育つと大人になってから健康になる、とは言えません
ここまでの研究が見たのは、子ども時代の受診、医療費、入院、症状、死亡率です。同じ子どもを成人後まで追い、対象年齢が高い自治体で育ったことと大人になってからの健康を比べた研究は、内容を確認できた範囲にはありませんでした。比べている自治体の対象年齢や自己負担の違いは、受診するときの負担の条件を表します。子どもの将来の健康の予測には使えません。
参照した研究の標本と報告
同じ論点を扱っていても、研究が調べた対象と報告の範囲は違います。標本と報告を並べて読みます。
| 研究 | 標本 | 報告 | 限界 |
|---|---|---|---|
| 子どもは無料で? 患者の自己負担と医療の利用Toshiaki Iizuka、Hitoshi Shigeoka(2018) | 大企業の健康保険組合の診療報酬請求データ(2005年4月〜2015年3月)のうち、市区町村の助成が年齢と時期で切り替わった7〜14歳の子ども | 窓口負担が3割から0円になると、月に1回以上外来を受診する確率が6〜8ポイント(助成なしの平均32%に対して19〜25%)上がり、外来の医療費は22〜31%増えたと報告した。増えた受診によって回避可能とされる入院は減らず、短中期の健康の改善も見られなかった一方、不適切な抗菌薬の使用と時間外受診は増えたと報告した。 | 親が大企業に勤める世帯の子どもで、所得がとても低い世帯は含まれない。7〜14歳、2005〜2015年の結果で、未就学児や現在の制度へそのまま当てはめられない。同じ著者の2022年の論文と同じデータを使っており、独立した追試ではない。 |
| 0円は特別な価格か 子どもの医療からの証拠Toshiaki Iizuka、Hitoshi Shigeoka(2022) | 大企業の健康保険組合の診療報酬請求データ(2005年4月〜2015年3月)のうち、市区町村の助成が0円・少額の定額・定率の負担で異なった7〜14歳の子ども | 窓口負担が0円のときは、少額でも負担がある場合と比べて受診が不連続に増え、0円は比較的健康な子どもの利用を増やし、不適切な抗菌薬の使用も増やしたと報告した。1回あたり2米ドル程度の少額の自己負担は、主に健康で受診の多い子どもの利用を減らし、病気がちな子どもの受診は大きく妨げず、家計の金銭的な危険もあまり増やさなかったと報告した。 | 2018年の作業論文と同じデータを使った同じ著者の研究で、独立した追試ではない。予防接種のように費用に見合う効果が確かめられている医療では0円の扱いが別になり得ると著者自身が述べている。対象は大企業に勤める親の子どもで、7〜14歳に限られる。 |
| 小児医療の自己負担がないことが世帯所得別の医療の利用に与える影響 回帰不連続デザインShingo Fukuma、Hirotaka Kato、Reo Takaku、Yusuke Tsugawa(2023) | 全国の診療報酬請求データベースの20歳未満の子ども(2018年4月〜2022年3月)。自己負担が0から3割へ上がる年齢(地域により6〜20歳)の前後にいる49,556人を分析 | 自己負担がないことは、外来の受診日数が年5.26日多いこと、外来の医療費が年369米ドル多いことと関連し、入院の利用の変化は確認されなかったと報告した。外来の増え方は、世帯所得の高い子ども(5.96日)で低い子ども(2.64日)より大きかったと報告した。 | 助成が終わる年齢の前後にいる子どもを比べた局所的な結果で、助成の年齢を上げたときの効果とは同じではない。期間の後半は新型コロナの流行期と重なる。健康の変化は入院の利用で見ている。 |
| 小児医療費無償化が医療利用と健康アウトカムに与える影響:因果効果と異質性の評価福間真悟(2025) | 全国規模の保険者データの子ども454,934人(2018〜2023年度)。自治体ごとの助成の基準となる生年月日の前後を比較 | 助成の対象から外れると、外来の受診日数が年1.04日、時間外受診が年0.14回、総医療費が年5,192円減り、抗アレルギー薬と気管支喘息の薬の処方も減ったと報告した。入院回数に有意な変化はなく、抗生物質の処方回数の変化も有意ではなかった。影響は前年度の医療利用が多い子どもと、助成の対象年齢が高い自治体で大きかったと報告した。 | 厚生労働科学研究費による総括研究報告書で、学術誌の査読を経た論文ではない。助成が終わる年齢の前後の子どもを比べた結果である。同じ研究代表者による2023年の論文と同種のデータを使っており、独立した追試とは読めない。 |
| 医療費助成の対象から外れることが子どもの受診に与える影響 差の差分析Atsushi Miyawaki、Haruko Noguchi、Yasuki Kobayashi(2017) | 都市部の国民健康保険に加入する小学2〜4年生2,896人の診療報酬請求データ(2012年4月〜2014年3月、69,504人月) | 4年生への進級で助成の対象から外れ自己負担が上がると、外来の利用が全体として減り、減り方は軽い病気や慢性の病気で大きかったと報告した。入院の利用は増えたが、健康の悪化ではなく外来から入院への置き換えによるものと報告した。 | 1つの都市部の国民健康保険加入者で、対象外になった直後の2年間の結果である。助成を始めたときの変化や、より上の年齢の子どもへの効果は分からない。 |
| 所得の低い世帯の子どもにおける患者の自己負担と医療の利用Reo Takaku(2017) | 北海道の1市の国民健康保険に加入する3〜6歳の子どもの月次データ(2004年10月の制度変更の前後) | 2004年10月に北海道の助成が3歳未満から未就学児全体へ広がった際、住民税非課税世帯の子どもは負担が3割から0円に、それ以外の世帯の子どもは1割になった差を使い、外来の利用の価格弾力性を-0.23と推定した。 | 1市の国民健康保険加入者の結果で、比べているのは0円と1割負担の差である。受診の量を推定した研究で、健康がどう変わったかの答えにはならない。 |
| 無料の医療は子どもの受診と健康を改善するか 未就学児の医療費助成からの証拠Cheolmin Kang、Akira Kawamura、Haruko Noguchi(2022) | 1990年代に助成を導入・拡大した人口の比較的多い33市区町村の0〜6歳児について、議会の議事録から集めた助成状況と全国を代表する4つの個票データを結び付けたデータ | 助成は外来の利用(受診の間隔、再来患者数、月々の医療費)を増やし、入院全体の利用にはほとんど影響がなく、1歳未満で手術を受けた子どもでは在院日数が延びたと報告した。保護者が答える発熱やせきなどの症状は減ったが、医師が評価する退院時の転帰と死亡率の改善は全体では見られず、1歳未満に限って見られたと報告した。 | 都市部の自治体に限られ、助成の短期の影響を見たものである。内容は早稲田大学の作業論文版(2019年)で確認しており、2022年に学術誌へ掲載された版とは細部が異なる場合がある。 |
| 自己負担の軽減が子どもの健康に与える影響 日本の証拠Reo Takaku(2016) | 国民生活基礎調査(1995〜2010年)の未就学児115,019人と学齢児133,855人に、全市区町村への独自調査(2013年10月)から求めた都道府県・年齢・年ごとの助成対象確率を結び付けたデータ | 助成の対象になることは、未就学児では主観的な健康状態の改善と関連し、学齢児では同様の改善は見られなかったと報告した。入院は未就学児・学齢児のどちらでも減らなかったと報告した。 | 個々の子どもが助成を受けたかではなく、都道府県単位で求めた対象確率を使っている。健康の指標は調査での回答で、2010年までの結果のため、その後の対象年齢の拡大は含まない。 |
| 外来の自己負担の軽減が子どもの入院に与える影響Hirotaka Kato、Rei Goto(2017) | 診断群分類(DPC)データベースの2012・2013年度の子どもの入院患者366,566人を1,390市区町村ごとに集計したデータ | 通院の助成の拡大は、入院全体の件数に有意な影響を示さなかったと報告した。地域別では所得の低い地域で入院が減り、所得の高い地域で増え、所得の低い地域では救急入院と外来で管理できるとされる病気による入院が減ったと報告した。 | 市区町村単位の集計で、個々の子どもの受診や健康を追ったものではない。DPCに参加する病院の入院が対象で、2年間の結果である。 |
| 医療費助成が小中学生の医療の利用に与える影響 地域の自然実験Atsushi Miyawaki、Yasuki Kobayashi(2019) | ある県で助成が拡大された前後の、国民健康保険に加入する子どもの診療報酬請求データ(2013年4月〜2017年1月) | 通院・入院の自己負担に月ごとの上限を設ける仕組みは、外来・入院の医療費に有意な影響を示さなかったと報告した。薬の自己負担をなくす仕組みは処方薬の支出を全体で116%、健康状態のよい子どもで121%に増やし、健康状態のよくない子どもでは増やさなかったと報告した。 | 1つの県の国民健康保険加入者の結果である。医療費と処方薬の支出を見た研究で、子どもの健康が変わったかは扱っていない。 |
| 子どもの医療費助成制度の受診抑制に対する影響-大規模自治体データを用いた実証研究-阿部彩、梶原豪人、川口遼(2021) | 東京都・長野県・広島県が実施した子どもの生活実態調査を統合したデータのうち、小学5年生と中学2年生のふたり親・生活保護を受けていない世帯 | 中学2年生では、窓口で3割を払う自治体と償還払いの自治体に住む場合、自己負担0円の自治体に比べ「受診させた方がよいと思ったが受診させなかった」経験が約2倍の確率で起きており、経済的に厳しい層ではこの関連がさらに大きかったと報告した。小学5年生では経済的に厳しい層だけに関連が見られ、償還払いは理由が「多忙」の場合だけ関連し、定額の負担では一貫した結果が得られなかったと報告した。 | 自治体どうしを比べた調査で、助成の変更前後を追ったものではない。受診控えは保護者の回答で、控えた受診が必要だったかや健康への影響は測っていない。ひとり親世帯は分析から外している。 |
| 子どもの医療費助成と受診抑制陳勝(2024) | 北海道の14市町村で2016年と2021年に実施された子どもの生活実態調査(小学2年・5年、中学2年、高校2年の保護者の回答) | 2回の調査の間に通院の助成が新しくできた地域・学年では、「受診させた方がよいと思ったが受診させなかった」割合が下がった例を報告した。たとえば札幌市の小学2年生では19.4%から14.0%へ、稚内市の高校2年生では20.2%から13.7%へ下がった。 | 同じ地域・学年の2時点の割合を比べた結果で、助成以外の変化(2021年は新型コロナの流行期)と分けた推定ではない。北海道の14市町村に限られ、受診控えは保護者の回答で、健康への影響は測っていない。 |
| 子どもの医療費無償化のスピルアップ効果佐藤大晃、中室牧子(2026) | 青森県40市町村の「青森県子どもの生活実態調査」(2018年と2023年)の小学5年生・中学2年生とその保護者 | 2時点の間に子どもの医療費の無償化を導入した市町村とそれ以外を比べ、無償化は子どもの健康や医療へのアクセスに有意な影響を与えなかった一方、親の心理的な負担の尺度(K6)を0.60ポイント改善したと報告した。改善は主に所得が上位半分の世帯と、小学生の子どもを持つ親で見られ、中学生の子どもを持つ親では有意な効果は確認されなかったと報告した。 | 経済産業研究所の討議用論文(2026年7月)で、学術誌の査読を経た論文ではない。青森県の小学5年生・中学2年生に限られ、同じ人を追った調査ではない。家計の医療費の支出額は測っていない。 |
一次資料と確認日は研究検証台帳の各ページに記載しています。
この論点に対応する問い
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子ども医療費の窓口負担が0円になると、子どもの通院は増えると報告されていますか?
確認した日本の研究では、増えるという報告で方向がそろっています。ただし同じデータや同じ研究グループによる結果を含み、独立に確かめた研究の数とは読めません。ちょうど0円になると、少額の負担が残る場合より受診が段差をもって増えたとする研究もあります。増え方の大きさは子どもの年齢、データの時期、比べた負担の差で異なり、どの自治体でも同じだけ増えるという予測にはなりません。
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子ども医療費の助成で、親の心理的な負担や家計が医療費で困る危険は変わると報告されていますか?
報告は少なく、測っているものも研究ごとに違います。青森県の調査では無償化で親の心理的な負担の改善が報告されましたが、主に所得が上位半分の世帯と小学生の親での結果です。大企業の健康保険組合の7〜14歳の研究は、窓口負担0円と比べ、1回2米ドル程度の負担では家計の金銭的な危険はあまり増えなかったとしています。世帯が払った自己負担額の変化を直接測った研究は確認できませんでした。
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子ども医療費の助成で増えた受診には、時間外の受診や抗菌薬の処方が含まれると報告されていますか?
時間外受診は、助成があると多い方向で報告がそろっています。窓口負担が0円で増えたとする2005〜2015年の研究と、助成の対象から外れると年0.14回減ったとする2018〜2023年度の報告です。抗菌薬は、不適切な使用が増えたとする研究と、処方回数に有意な変化を確認しなかった報告とに分かれています。いずれも日本の請求データの結果で、個々の受診が必要だったかは判定していません。
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子ども医療費の助成が広がると、子どもの入院が減るなど、健康の改善が報告されていますか?
確認した日本の研究では、入院全体の減少は確認されず、健康の改善は一部に限って報告されています。未就学児の主観的な健康との関連(学齢児では見られず)と、1990年代の都市部33市区町村の0〜6歳で保護者が答える症状の減少と1歳未満に限った転帰・死亡率の改善です。市区町村ごとに集計した入院件数の研究は、全体では有意な変化がなく、所得の低い地域で減り高い地域で増えたとしています。
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窓口で3割を払う地域では、子どもの受診を控える家庭が多いと報告されていますか?
多いという報告があります。東京都・長野県・広島県のふたり親で生活保護を受けていない世帯の中学2年生では、3割負担と償還払いの自治体で0円の自治体の約2倍とする研究があります。北海道では一部の地域・学年で助成ができた後に割合が下がった例がありますが、2時点の比較で助成以外の変化と分けていません。どちらも保護者の回答で、控えた受診が必要だったかや健康への影響は測っていません。
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通院の助成の対象年齢が高い自治体で育つと、大人になってからの健康がよくなると研究で示されていますか?
今回確認した研究からは示されていません。確認できた日本の研究はどれも子ども時代の受診、入院、症状などを見たもので、同じ子どもを成人後まで追い、対象年齢が高い自治体で育ったことと大人になってからの健康を比べた研究は、そのなかにありませんでした。
この整理で分からないこと
- 限界
- この整理は、個別の家庭の受診や、自治体の助成の良し悪しを判定しません。研究ごとに対象年齢、時期、データ、比べ方が違い、同じデータや同じ研究代表者による結果は独立した確認としては数えられず、助成が終わる年齢の前後の比較は対象年齢の引き上げと同じではありません。大企業の健康保険組合の研究は所得がとても低い世帯を含まず、国民生活基礎調査の研究は都道府県単位の対象確率、33市区町村の研究は1990年代の都市部の短期の影響で作業論文版によるもの(掲載版と細部が異なる場合あり)、2025年の報告と青森県の論文は査読前、青森県の調査は同じ人を追っていません。受診控えと主観的な健康・症状には保護者の回答が含まれ、2018年以降には新型コロナの流行期が含まれ、成人後まで追った研究は今回の範囲にありません。最新の助成内容は候補自治体の公式案内で確認してください。
関連する読みもの
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