研究検証台帳
0円は特別な価格か 子どもの医療からの証拠
Toshiaki Iizuka、Hitoshi Shigeoka(2022年)
書誌と確認の記録
- 資料の種別
- 出版社
- DOI
- 10.1257/app.20210184
- 確認日
標本
大企業の健康保険組合の診療報酬請求データ(2005年4月〜2015年3月)のうち、市区町村の助成が0円・少額の定額・定率の負担で異なった7〜14歳の子ども
報告
窓口負担が0円のときは、少額でも負担がある場合と比べて受診が不連続に増え、0円は比較的健康な子どもの利用を増やし、不適切な抗菌薬の使用も増やしたと報告した。1回あたり2米ドル程度の少額の自己負担は、主に健康で受診の多い子どもの利用を減らし、病気がちな子どもの受診は大きく妨げず、家計の金銭的な危険もあまり増やさなかったと報告した。
限界
- 一般化できない範囲
- 2018年の作業論文と同じデータを使った同じ著者の研究で、独立した追試ではない。予防接種のように費用に見合う効果が確かめられている医療では0円の扱いが別になり得ると著者自身が述べている。対象は大企業に勤める親の子どもで、7〜14歳に限られる。
この研究を参照するページ
- 子ども医療費の窓口負担が0円になると、子どもの通院は増えると報告されていますか?確認した日本の研究では、増えるという報告で方向がそろっています。ただし同じデータや同じ研究グループによる結果を含み、独立に確かめた研究の数とは読めません。ちょうど0円になると、少額の負担が残る場合より受診が段差をもって増えたとする研究もあります。増え方の大きさは子どもの年齢、データの時期、比べた負担の差で異なり、どの自治体でも同じだけ増えるという予測にはなりません。
- 子ども医療費の助成で、親の心理的な負担や家計が医療費で困る危険は変わると報告されていますか?報告は少なく、測っているものも研究ごとに違います。青森県の調査では無償化で親の心理的な負担の改善が報告されましたが、主に所得が上位半分の世帯と小学生の親での結果です。大企業の健康保険組合の7〜14歳の研究は、窓口負担0円と比べ、1回2米ドル程度の負担では家計の金銭的な危険はあまり増えなかったとしています。世帯が払った自己負担額の変化を直接測った研究は確認できませんでした。
- 子ども医療費の助成で増えた受診には、時間外の受診や抗菌薬の処方が含まれると報告されていますか?時間外受診は、助成があると多い方向で報告がそろっています。窓口負担が0円で増えたとする2005〜2015年の研究と、助成の対象から外れると年0.14回減ったとする2018〜2023年度の報告です。抗菌薬は、不適切な使用が増えたとする研究と、処方回数に有意な変化を確認しなかった報告とに分かれています。いずれも日本の請求データの結果で、個々の受診が必要だったかは判定していません。
- 子ども医療費助成で受診が増えることと、子どもが健康になることは別の問い子ども医療費の助成が広がったとき、受診、受診の中身、入院や健康、受診控え、親の負担について日本の研究が何を報告しているかを、研究ごとの対象と限界とあわせて整理します。
- 研究検証台帳の一覧登録済みの研究を標本・報告・一次資料で並べています。