研究検証台帳
小児医療の自己負担がないことが世帯所得別の医療の利用に与える影響 回帰不連続デザイン
Shingo Fukuma、Hirotaka Kato、Reo Takaku、Yusuke Tsugawa(2023年)
書誌と確認の記録
- 資料の種別
- 出版社
- DOI
- 10.1136/bmjopen-2023-071976
- 確認日
標本
全国の診療報酬請求データベースの20歳未満の子ども(2018年4月〜2022年3月)。自己負担が0から3割へ上がる年齢(地域により6〜20歳)の前後にいる49,556人を分析
報告
自己負担がないことは、外来の受診日数が年5.26日多いこと、外来の医療費が年369米ドル多いことと関連し、入院の利用の変化は確認されなかったと報告した。外来の増え方は、世帯所得の高い子ども(5.96日)で低い子ども(2.64日)より大きかったと報告した。
限界
- 一般化できない範囲
- 助成が終わる年齢の前後にいる子どもを比べた局所的な結果で、助成の年齢を上げたときの効果とは同じではない。期間の後半は新型コロナの流行期と重なる。健康の変化は入院の利用で見ている。
この研究を参照するページ
- 子ども医療費の窓口負担が0円になると、子どもの通院は増えると報告されていますか?確認した日本の研究では、増えるという報告で方向がそろっています。ただし同じデータや同じ研究グループによる結果を含み、独立に確かめた研究の数とは読めません。ちょうど0円になると、少額の負担が残る場合より受診が段差をもって増えたとする研究もあります。増え方の大きさは子どもの年齢、データの時期、比べた負担の差で異なり、どの自治体でも同じだけ増えるという予測にはなりません。
- 子ども医療費の助成が広がると、子どもの入院が減るなど、健康の改善が報告されていますか?確認した日本の研究では、入院全体の減少は確認されず、健康の改善は一部に限って報告されています。未就学児の主観的な健康との関連(学齢児では見られず)と、1990年代の都市部33市区町村の0〜6歳で保護者が答える症状の減少と1歳未満に限った転帰・死亡率の改善です。市区町村ごとに集計した入院件数の研究は、全体では有意な変化がなく、所得の低い地域で減り高い地域で増えたとしています。
- 窓口で3割を払う地域では、子どもの受診を控える家庭が多いと報告されていますか?多いという報告があります。東京都・長野県・広島県のふたり親で生活保護を受けていない世帯の中学2年生では、3割負担と償還払いの自治体で0円の自治体の約2倍とする研究があります。北海道では一部の地域・学年で助成ができた後に割合が下がった例がありますが、2時点の比較で助成以外の変化と分けていません。どちらも保護者の回答で、控えた受診が必要だったかや健康への影響は測っていません。
- 子ども医療費助成で受診が増えることと、子どもが健康になることは別の問い子ども医療費の助成が広がったとき、受診、受診の中身、入院や健康、受診控え、親の負担について日本の研究が何を報告しているかを、研究ごとの対象と限界とあわせて整理します。
- 研究検証台帳の一覧登録済みの研究を標本・報告・一次資料で並べています。