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観測型FAQ研究

家庭の収入による子どもの食事の差は、給食がある日には小さいと報告されていますか?

回答の要約
東日本4県の小学5年生を調べた同じ横断調査の分析2本では、収入による栄養摂取の差は給食のない日に見られ、給食のある日には有意でなかったと報告されています。給食が差を縮めた因果効果を推定した研究ではありません。

東日本の5年生では、収入との関連は給食のない日にだけ有意でした

東日本4県の5年生と保護者836組(2013年)の食事記録を使った研究は、世帯収入が低いほど魚介類や緑黄色野菜、たんぱく質などの摂取が少ない関連を報告しています。この関連は給食のある日には有意でなく、給食のない日に有意でした。

同じ調査の別の分析でも、鉄や亜鉛などの不足に同じ形が出ました

同じ836人を収入で3区分した分析では、給食のない日に、低収入の子どもで鉄・亜鉛などの不足が中収入より多く、給食のある日にはこの差が有意でなかったと報告しています。上の研究と同じ調査の別の分析であり、別の地域で確かめた結果ではありません。

首都圏の6〜12歳では、給食からの摂取量に家庭による差がありませんでした

首都圏の社会調査に参加した6〜12歳の719人を調べた研究は、母親の学歴が低い家庭の子どもほど野菜の摂取が少ない差がある一方、給食からとる量には家庭の状況による差がなかったと報告しています。統計モデルで分解すると、給食がこの差を野菜で約1割、果物で数パーセント縮めていたとしています。

この回答が参照した研究

研究ごとに、調べた対象(標本)、報告された内容、この問いでの用い方を分けて示します。

研究 標本 この問いでの用い方
世帯収入は日本の小学生の食品・栄養摂取と関連し、とくに給食のない日に関連が見られるNobuko Murayama、Hiromi Ishida、Taeko Yamamoto、Sayaka Hazano、Akemi Nakanishi、Yumi Arai、Miho Nozue、Yukiko Yoshioka、Saori Saito、Aya Abe(2017) 東日本4県の公立小学校19校の5年生と保護者836組(2013年9〜12月)。給食のある日2日とない日2日の写真付き食事記録 収入と食事の関連が給食のない日に有意だった
世帯収入別にみた、給食のある日とない日の日本の小学生の栄養素充足Chika Horikawa、Nobuko Murayama、Hiromi Ishida、Taeko Yamamoto、Sayaka Hazano、Akemi Nakanishi、Yumi Arai、Miho Nozue、Yukiko Yoshioka、Saori Saito、Aya Abe(2020) 東日本4県の公立小学校19校の5年生836人。給食のある日2日とない日2日の食事記録と、保護者が回答した世帯収入(低・中・高の3区分) 同じ調査で、栄養素の不足を収入区分ごとに比べた
全員対象の学校給食は、日本の子どもの果物・野菜摂取の社会経済的な差を縮めるMai Yamaguchi、Naoki Kondo、Hideki Hashimoto(2018) 首都圏で行われた社会調査に参加した6〜12歳の子ども719人。子ども向けの簡易食事歴質問票 首都圏の別の調査で、給食からの摂取量に家庭による差がなかった

この回答で分からないこと

限界
いずれも1時点の横断調査です。東日本の2本は、2013年9〜12月の給食のある日2日とない日2日の食事記録にもとづきます。首都圏の6〜12歳719人の研究で給食が野菜の差の約1割、果物の差の数パーセントを縮めたとする結果は統計モデル上の分解で、給食のない子どもとの比較でも、給食をなくした場合の効果でもありません。学年や地域を広げた結果、夏休みなど長期休暇中の変化、給食費の負担との関係は、ここで確認した研究では検証していません。
出典の層
一次資料を確認した研究3件の報告です。研究の対象と識別方法は同じではありません。