12月上旬に、このサイトの住所が future-elementary.com に変わります

新しい住所で開いてみる
くわしく

いまの住所のリンクやブックマークは、変わったあとも自動で新しい住所へ転送されます。Classroom などに貼ったリンクは、新しい住所に貼り替えていただくと確実です。

学校で開けないときは、情報担当の先生や教育委員会に future-elementary.com の許可をお願いしてください。

先生へ学校の端末で開けるか、新しい住所で試してください。

論点別コラム学童保育と就業・子どもの放課後

学童保育の待機児童・開所時間と「小1の壁」、研究で分かっている範囲

子どもが小学校に上がるときに気になるのは、学童保育に入れるか、何時まで預けられるか、入学で働き方が変わるのか、学童保育を利用しやすいと働き方が変わるのか、学童保育が子どもにどう影響するのか、という別々の問いです。国の集計で分かることと、研究が調べた範囲を問いごとに分けます。

5つの問いは、答えの出どころが違います

学年別の待機児童とクラブの終了時刻は、こども家庭庁の毎年の集計で答えられます。小学校入学の前後で母親の就業が変わるかは、日本の研究が調べています。学童保育の定員や利用、制度の違いと就業の関係は、日本とスイスの研究が調べています。学童保育が子どもの学力や発達に与える影響については、日本の学童保育を対象にした研究が今回の確認では見つかりませんでした。確認できたのは、海外の研究と、日本の別の放課後事業の研究です。

待機児童は小学4年生に多く、登録児童は1〜3年生が約78%です

2025年5月1日現在、待機児童16,330人のうち、小学4年生が5,589人(34.2%)で最も多く、3年生3,305人(20.2%)が続きます。一方、登録している157万645人は1〜3年生が約78%です。市区町村が受け入れる学年の基準や、申し込まなかった家庭の数は、この集計には出てきません。

平日に18時半を超えて開くクラブは約62%です

同じ集計で、平日の終了時刻は18時31分〜19時のクラブが54.9%、19時1分以降が7.4%で、合わせて約62%が18時半を超えて開いています。クラブの数で数えた割合で、候補地の学校区にあるクラブの終了時刻や、延長の料金はこの集計の外にあります。

小学校入学の時点で、母親の就業率が下がったという報告があります

「消費生活に関するパネル調査」で第1子が保育所に通っていた母親を追った研究は、第1子の入学の時点で、核家族世帯の母親の就業率が三世代同居世帯に比べて10.9ポイント下がったと報告しています。調査期間は抄録に記載がありません。同じ著者が1995〜2010年の『国民生活基礎調査』で入学の直前と直後を比べた研究も、母親の就労率がおおむね10%下がったとし、低下は常勤雇用と短期間雇用の母親で目立ち、自営業の母親では観察されなかったと報告しています。どちらの推定も、低下の理由のうち学童保育の不足による分は切り分けていない点に注意が要ります。

学童保育と女性・母親の就業の関係は、何を比べるかで報告が分かれます

東京都の市区町村を1985〜2010年に比べた研究は、学童保育の定員比率の増加と35〜44歳の女性の就業率の上昇を報告しています。母親個人を追った研究は、学童保育の利用は働く確率に有意な影響がなく、正規雇用の確率と労働時間には有意に正の影響があり、その影響は小学校入学前から働いていた母親で大きかったと報告しています。スイスの州の制度差を使った研究は、母親のフルタイム就業には正の影響があった一方、親の就業全体への影響はみられなかったと報告しています。

子どもの学力や発達への影響は、日本の学童保育については示されていません

ドイツの小学生の観察データでは、施設型の放課後保育への通所は、平均では成績にも社会行動面にも有意な影響がみられませんでした。母親の学歴が低い家庭や低所得家庭の子どもでは、社会行動面に良い影響があったとされます。米国の無作為割り当ての評価では、学力への影響はほとんどなく、一部の好ましくない行動が通う群で多かった一方、通う群の小学生は放課後をより安全だと感じていました。日本の研究は、学童保育とは別の放課後子供教室を東京都の質問紙調査で評価したもので、社会情動面への寄与の可能性を報告しています。

参照した研究の標本と報告

同じ論点を扱っていても、研究が調べた対象と報告の範囲は違います。標本と報告を並べて読みます。

研究 標本 報告 限界
小学1年生の母親の壁:日本における放課後保育の利用可能性と母親の就業継続Reo Takaku(2017) 「消費生活に関するパネル調査」のうち、第1子が未就学時に保育所を利用していた母親(核家族世帯と三世代同居世帯を比較) 第1子の小学校入学の時点で、核家族世帯の母親は三世代同居世帯の母親に比べて就業率が10.9ポイント低下し、1日の有償労働が約30分減って家事・育児の時間が同じだけ増えたと報告した。 祖父母による保育の有無を比べた推定で、学童保育の定員や待機児童数を直接測った分析ではない。標本の調査期間は抄録に記載がなく、近年の学童保育の拡充後にも同じ大きさの変化があるかは示していない。
小学校一年生の壁と日本の放課後保育高久玲音(2019) 1995〜2010年の『国民生活基礎調査』の子どもを持つ世帯(子どもの月齢で小学校入学の前後を比べる回帰不連続デザイン) 子どもの小学校入学とともに母親の就労率がおおむね10%低下し、常勤雇用と短期間雇用の母親で低下が目立ったと報告した。自営業の母親では低下は観察されなかった。 2010年までの全国平均で、幼稚園を利用していた世帯も含む。労働時間は分析できておらず、低下の理由が放課後保育の不足かどうかを直接分けた推定ではない。
学童保育の拡大が女性の就業率に与える影響平河茉璃絵、浅田義久(2018) 1985〜2010年(5年ごと)の東京都の市区町村集計データ。年齢階級別の女性の就業率と、5〜10歳人口1人当たりの学童保育の定員比率 所得、親との同居率、保育所の利用可能性などの地域属性を考慮しても、学童保育の定員比率の増加が35〜39歳と40〜44歳の女性の就業率を有意に高めたと報告した。 東京都の市区町村単位の平均で、学童保育を利用した個々の母親の就業変化ではない。子育て中かどうかを区別しない年齢階級別の女性就業率を用いており、2010年より後の期間や東京都以外は対象外。
認可保育所と学童保育が母親の就業に与える影響中山真緒(2021) 「消費生活に関するパネル調査」の母親(慶應義塾大学パネルデータ設計・解析センターのディスカッションペーパー DP2021-006) 学童保育の利用は母親の就業確率には有意な影響がなかった一方、正規雇用の確率と労働時間には有意に正の影響があり、小学校入学前から働いていた母親で影響が大きかったと報告した。認可保育所の利用が低学年での学童保育の利用確率を高める関係は、核家族でだけ観察された。 査読前のディスカッションペーパーで、標本期間は要旨に記載がない。学童保育を利用するかどうかは家庭が選ぶため、地域の定員や待機児童数の違いが就業に与える影響を示したものではない。
放課後保育と親の就業Christina Felfe、Michael Lechner、Petra Thiemann(2016) スイスの2010年の国勢調査の個票。州(カントン)ごとの放課後保育の規定の違いを使い、州境に近い地域に限って比較 放課後保育の提供は、全体としては親の就業に影響がみられなかった一方、母親がフルタイムで働くことには正の影響があったと報告した。 スイスの州の制度差を使った2010年時点の推定で、日本の学童保育の制度・開所時間・費用とは条件が異なる。
施設型の放課後保育と子どもの発達Christina Felfe、Larissa Zierow(2014) ドイツの子どもパネル調査(2002〜2005年)の小学生。以前の発達状態を考慮する付加価値モデルで推定 施設型の放課後保育への通所は、平均では学校の成績や社会行動面の発達に有意な影響がみられなかった一方、母親の学歴が低い家庭や低所得家庭の子どもでは社会行動面の発達に良い影響があったと報告した。 ドイツの2000年代前半の観察データで、通所するかどうかは無作為に決まっていない。日本の学童保育の制度や過ごし方とは条件が異なる。
学校が遅くまで開くとき:21世紀コミュニティ学習センター事業の全国評価 最終報告Susanne James-Burdumy、Mark Dynarski、Mary Moore、John Deke、Wendy Mansfield、Carol Pistorino(2005) 米国の12学区・26センターで、小学生を放課後プログラムに通う群と通わない群へ無作為に割り当て、2000〜2001年度から2学年度追跡(米国教育省の委託評価) 通う群は放課後に親やきょうだい以外の大人に見守られることが増えた一方、学力への影響はほとんどなく、一部の好ましくない行動は通う群で多かったと報告した。通う群の小学生は放課後をより安全だと感じていた。 米国の連邦補助による放課後プログラムの2000年代初めの評価で、対象の26センターは無作為に選ばれていない。日本の学童保育とは制度・目的・利用者が異なる。
日本の学校を拠点とする放課後プログラムの評価:子どもの日常の活動と社会情動的発達への影響Fuyuko Kanefuji(2015) 東京都の小学生5,307人への質問紙調査。文部科学省の「放課後子供教室」を対象とした評価 放課後子供教室への参加が、他者への共感的な理解と、興味・意欲の高まりという2つの面の社会情動的発達に寄与している可能性が高いと報告した。 放課後児童クラブ(学童保育)ではなく、文部科学省の放課後子供教室の評価で、東京都の質問紙調査に基づく。参加するかどうかは無作為に決まっておらず、学力への影響は対象外。

一次資料と確認日は研究検証台帳の各ページに記載しています。

この論点に対応する問い

  1. 学童保育(放課後児童クラブ)の待機児童は、何年生に多く集計されていますか?

    2025年5月1日現在の国の集計では、小学4年生が最も多く、待機児童16,330人の34.2%でした。登録している児童は1〜3年生が約78%を占めており、待機児童の学年の分布とは違います。

    行政統計

  2. 放課後児童クラブは、平日の何時まで開いているところが多いですか?

    2025年5月1日現在の国の集計では、平日に18時半を超えて開いているクラブが全体の約62%でした。いちばん多いのは18時31分〜19時の54.9%で、19時1分以降まで開くクラブは7.4%です。

    行政統計

  3. 子どもの小学校入学の前後で、母親の就業が変わると報告されていますか?

    日本の研究2件(同じ著者)が、小学校入学時の母親の就業の低下を報告しています。1995〜2010年の全国調査では入学とともに母親の就労率がおおむね10%下がり、常勤雇用と短期間雇用で目立ち、自営業では観察されませんでした。もう1件は、第1子が未就学時に保育所を利用していた母親で、第1子の入学時に核家族の母親の就業率が三世代同居より10.9ポイント下がったと報告しています。どちらも近年の状況や、原因が学童保育の不足かどうかは示していません。

    研究

  4. 学童保育を利用しやすいほど、母親の就業は増えると報告されていますか?

    報告は一様ではありません。東京都の市区町村の研究は、5〜10歳人口当たりの学童保育の定員比率が増えると、35〜44歳の女性(子育て中かを区別しない)の就業率が上がったと報告しています。日本の母親を追った研究では、学童保育の利用は働く確率に有意な影響がなく、正規雇用の確率と労働時間には有意に正の影響がありました。スイスの研究は、親の就業全体には影響がみられず、母親のフルタイム就業には正の影響があったと報告しています。

    研究

  5. 日本で、学童保育に通うことが子どもの学力や発達に影響すると、研究で示されていますか?

    日本の学童保育の利用と子どもの学力・発達の関係を検証した研究は、確認した範囲では見つかっていません。海外の2件では、ドイツは平均で成績・社会行動面に有意な影響がみられず、母親の学歴が低い家庭や低所得家庭の子どもで社会行動面に良い影響があったと報告しています。米国は、学力への影響はほとんどなく、親やきょうだい以外の大人に見守られることが増え、通う群は放課後をより安全だと感じていた一方、一部の好ましくない行動が通う群で多かったと報告しています。

    研究

この整理で分からないこと

限界
この整理は、個別の家庭が学童保育に入れるかどうかや、入学後の働き方、子どもへの影響を予測しません。約62%はクラブの数の割合です。入学時の就業の低下を調べた2本は同じ著者によるもので、原因を学童保育の不足と分けた推定ではありません。東京都の研究は母親に限らない女性の就業率、母親を追った研究は査読前の論文で利用は家庭が選んでいます。ドイツと放課後子供教室の研究は通所・参加が無作為に決まっておらず、米国の評価も対象センターは無作為に選ばれていません。研究ごとの時期と限界は各FAQに書いています。