観測型FAQ研究
年度の途中の転校と年度の区切りでの転校で、学力への影響に違いがあると研究で報告されていますか?
- 回答の要約
- 報告は限られ、一様ではありません。米国テキサス州の1990年代の算数の記録では、転校した本人の負担に年度途中かどうかの差は確認されませんでした。一方、転校していない子どもでは、学校の転入が多いことによる伸びの低下が年度途中の転入で大きく、低所得層の子どもに集中していたと報告されています。時期を比べた研究は今回確認した範囲ではこの1本で、日本の学校を対象にした比較もありませんでした。
本人の負担に時期の差は確認されず、転校していない子では年度途中の転入の影響が大きく、低所得層に集中していました
米国テキサス州の公立学校で4〜7年生を追跡した1990年代半ばの算数の記録を使った研究は、転校した本人の負担には、年度途中の転校かどうかで差は確認されなかったと報告しています。一方、学校全体の転入の多さは転校していない子どもの学力の伸びも下げ、その影響は年度途中の転入で大きく、低所得層の子どもに集中していました。
時期を直接比べてはいませんが、学年の切り替えによる移動でもその年の伸びは低い結果でした
学区の通学区域の大きな変更が行われた時期を含む、米国ナッシュビル都市圏の公立学校3〜8年生を追った研究は、小学校から中学校への進学のような学年の切り替えによる移動を含め、4種類の在籍校の変更すべてで、変更した年の読解・算数の学力の伸びが低かったと報告しています。その差は年間の予想される伸びの約6%、授業日数で約10日分に当たるとしています。年度途中と年度の区切りの転校を直接比べた結果ではありません。
この回答が参照した研究
研究ごとに、調べた対象(標本)、報告された内容、この問いでの用い方を分けて示します。
| 研究 | 標本 | この問いでの用い方 |
|---|---|---|
| 混乱か、より良い学校への移動か:転校の費用と便益Eric A. Hanushek、John F. Kain、Steven G. Rivkin(2004) | 米国テキサス州の公立学校で4〜7年生を追跡した3つの学年集団(1学年あたり20万人超、1990年代半ば)の算数の学力記録 | 本人には時期の差が確認されず、転校していない子では年度途中の転入の影響が大きく低所得層に集中した |
| 在籍校の変更と学力の伸び:教育の中断と継続の事例研究Jeffrey Grigg(2012) | 学区の通学区域の大きな変更が行われた時期の、米国ナッシュビル都市圏の公立学校3〜8年生の追跡データ | 時期を直接比べてはいないが、学年の切り替えによる移動でもその年の伸びが低かった |
この回答で分からないこと
- 限界
- テキサス州の研究は1990年代の算数の記録で、転居の理由は記録になく、離婚や失業などの家庭の変化と転校の影響を完全には分けられません。ナッシュビルの研究は通学区域の大きな変更という特別な時期を含む1つの都市圏の記録で、年度途中と年度の区切りの転校を直接比べた結果ではありません。どちらも米国の3〜8年生の範囲の記録で、低学年や高校段階の結果ではなく、年度の区切りや転校の手続きも日本と異なります。個別の家庭の転居時期による違いは予測しません。
- 出典の層
- 一次資料を確認した研究2件の報告です。研究の対象と識別方法は同じではありません。
関連する読みもの
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- 研究検証台帳標本・報告・限界・一次資料を研究ごとに確認できます。
- 観測型FAQの一覧テーマごとの問いと回答の要約を一覧で読みます。