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観測型FAQ研究

日本で給食費を無償にした自治体で、子どもの栄養や体重がよくなったと研究で示されていますか?

回答の要約
今回確認した研究には、日本で無償化した自治体と、していない自治体、または無償化の前後で、子どもの栄養や体重を比べたものは含まれていません。海外では英国の4〜5歳児とカリフォルニア州の低所得地域の学校で肥満の低下が報告されていますが、給食の利用状況が日本と違う環境の結果で、米国の研究のまとめは肥満の変化の確からしさを低いか非常に低いとしています。

日本では、無償化の前後や自治体の間で子どもを比べた研究は見つかりませんでした

文部科学省の資料では、主食・ミルク・おかずがそろう完全給食を実施している公立学校の割合は、2023年5月1日時点の学校数で小学校99.5%、中学校97.1%で、多くの子どもはすでに給食を食べています。今回の確認では、無償化の前後や、無償化した自治体と、していない自治体で子どもの栄養や体重を比べた日本の研究は見つかりませんでした。給食の有無と栄養や体格の関係を調べた日本の研究は、学校給食と子どもの栄養のコラムで別に整理しています。

英国の4〜5歳児では、無料の給食に触れた期間が長いほど、入学1年目の終わりの肥満とBMIが低かったと報告されています

英国イングランドで入学後3年間の給食を全員無料にした制度について、4〜5歳児の身体測定記録を測定時期の違いで比べた研究は、全員無料の給食に触れた期間が長いほど、入学1年目の終わりに普通体重の子どもが増え、肥満とBMIが下がったと報告しています。著者らは、主に以前は所得要件で対象外だった子どもが家庭の弁当から給食へ切り替えたことによるとみています。

米国カリフォルニア州の低所得地域の学校では、肥満の割合のわずかな低下が報告されています

米国カリフォルニア州で全校生徒の給食を無料にできる制度に参加した学校を調べた研究は、参加しなかった対象校と比べて肥満の割合が0.60ポイント下がったと報告しています。提供食数は参加校でだけ増えたとしています。対象は生徒の約8割がもともと無料・減額給食の対象だった低所得地域の学校で、学校ごとの割合の比較です。

米国の研究のまとめでも、根拠はまだ少ないとされています

米国の全員無料化を調べた研究6本をまとめたレビューは、給食を食べる生徒の割合の増加を中程度の確からしさで認める一方、出席・肥満・停学の変化は根拠の確からしさが低いか非常に低く、食事内容、家計への影響、食料不安を扱った対象研究はなかったと報告しています。

この回答が参照した一次資料

資料ごとに、発行主体、資料名、確認日を示します。

発行主体
文部科学省
確認日

この回答が参照した研究

研究ごとに、調べた対象(標本)、報告された内容、この問いでの用い方を分けて示します。

研究 標本 この問いでの用い方
全員対象へ:学校給食の無料化が子どもの体重に与える影響Angus Holford、Birgitta Rabe(2022) 英国イングランドで2014年9月から始まった、公立学校の入学後3年間の給食の全員無料化。4〜5歳児の身体測定記録を、測定時期の違いを使って比較 英国の4〜5歳児で、無料の給食に触れた期間が長いほど入学1年目の終わりの肥満とBMIが低下
学校給食の全員無料化と子どもの肥満Anna M. Localio、Melissa A. Knox、Anirban Basu、Tom Lindman、Lina Pinero Walkinshaw、Jessica C. Jones-Smith(2024) 米国カリフォルニア州の公立学校で、全校生徒の給食を無料にできる制度の対象となった3,531校。2013〜2019年に5・7・9年生で測ったBMIから学校ごとの肥満の割合を算出 米国の低所得地域の学校で、肥満の割合がわずかに低下
学校給食の全員無料化と学校・生徒の成果:系統的レビューMaureen K. Spill、Rupal Trivedi、Rachel C. Thoerig、Arin A. Balalian、Marlene B. Schwartz、Craig Gundersen、Angela Odoms-Young、Elizabeth F. Racine、Margaret J. Foster、Julie S. Davis、Amanda J. MacFarlane(2024) 米国の全員無料化制度を、無料化していない学校と比べた非無作為の研究6本(6州、1万1千校以上) 米国の研究6本のまとめで、肥満の根拠の確からしさは低く、食事内容の研究はない

この回答で分からないこと

限界
海外の3本は、変化の経路を同じ形では示していません。英国は著者らが弁当から給食への切り替えによるとみる解釈、カリフォルニアは参加校で提供食数が増えたことの併記、米国のまとめは肥満の確からしさが低いか非常に低いという評価です。英国は入学1年目の終わりの4〜5歳児、カリフォルニアは生徒の約8割がもともと無料・減額給食の対象だった低所得地域の学校単位の比較で、ほぼ全員がすでに給食を食べている日本の公立小中学校へそのまま当てはめられません。日本で無償化の効果を確かめるには、無償化した自治体と、していない自治体、または前後で、子どもの食事や体格を同じ方法で測った比較が必要です。
出典の層
一次資料を確認した研究3件の報告です。研究の対象と識別方法は同じではありません。