観測型FAQ研究
思い出す練習をすると、練習していない応用の問題まで解けるようになると報告されていますか?
- 回答の要約
- 結果が分かれています。研究をまとめたメタ分析は、応用問題や推論の問題への広がりがあったと報告しましたが、出版の偏りを補正すると条件によっては見られなくなるとしています。中学生の理科で広がりを報告した研究がある一方、推論の問題では伸びなかった研究もあります。小学生で応用問題への広がりを調べた研究は、この確認の範囲では見つかりませんでした。
メタ分析は広がりを報告しましたが、補正すると見られなくなる条件もあるとしています
練習テストで学んだことが、形の違う問題などへ広がるかを調べた122の実験(合計10,382人)をまとめたメタ分析は、読み直しなどと比べて広がりの効果があったと報告しました(d = 0.40)。応用問題や推論の問題では大きく、学んだ順番を並べ替えた問題などでは小さかったとしています。一方で、出版の偏りを補正すると、条件によっては広がりが見られなくなるとも書いています。
中学生の理科では、応用の問いで練習した場合に広がりが報告されています
中学校の理科の授業で、間をあけて3回の小テストを受けた単元は、小テストと同じ問題でも、同じ内容を別の形で問う問題でも、授業の試験の成績が上がったと報告されています。2つ目の実験では、応用の問いで練習すると定義の問いにも別の応用の問いにも効いた一方、定義の問いで練習しても応用の問いには効かなかったとしています。
推論の問題では、思い出す練習で伸びなかった研究があります
前提の文を学んだあと、読み直す群と穴埋めのテストで復習する群を比べた4つの実験(参加者の年齢は抄録に書かれていません)は、前提の文を思い出す成績はテストの側が上回った一方、その前提から結論を導く推論の問題の成績は、思い出す練習で高まらなかったと報告しています。
この回答が参照した研究
研究ごとに、調べた対象(標本)、報告された内容、この問いでの用い方を分けて示します。
| 研究 | 標本 | この問いでの用い方 |
|---|---|---|
| テスト強化学習の転移:メタ分析と総合Steven C. Pan、Timothy C. Rickard(2018) | 122の実験・67本の論文、合計10,382人(年齢・学年の内訳は抄録に記載なし) | 応用・推論の問題への広がりを報告し、補正で見られなくなる条件もあるとしたメタ分析 |
| 中学理科の小テスト:授業の試験での転移の成功Mark A. McDaniel、Ruthann C. Thomas、Pooja K. Agarwal、Kathleen B. McDermott、Henry L. Roediger(2013) | 中学校の理科の授業(人数は抄録に記載なし。2つの実験) | 中学理科で、応用の問いで練習したときに広がりがあった授業の研究 |
| 思い出す練習は演繹的な推論には転移しないRobert Tran、Doug Rohrer、Harold Pashler(2015) | 参加者(年齢・人数は抄録に記載なし。4つの実験) | 前提の再生は伸びたが、推論の問題は伸びなかった実験 |
この回答で分からないこと
- 限界
- 小学生を対象に、応用の問題への広がりを調べた研究は、この確認の範囲では見つかりませんでした。中学生の研究は、小テストを間をあけて繰り返す手続きと一緒の効果です。広がりの有無は、練習した問いの種類やテストの形で変わると報告されており、「思い出す練習をすれば応用も解ける」とは言えません。この確認は研究の抄録の範囲です。
- 出典の層
- 一次資料を確認した研究3件の報告です。研究の対象と識別方法は同じではありません。
関連する読みもの
- エレメンタリーの単元単元ページの「やってみよう」には、動画で見たことを使って考える問いもあります。
- 学び方の研究ノート:思い出す・間をあける・まぜて解く・手で書く・動画・学習スタイル思い出す練習、間をあけた復習、種類をまぜた練習、手で書くか打つか、動画で学ぶこと、学習スタイルの6つについて、研究で確かめられていることと、まだ確かめられていないことを分けて読みます。関連するエレメンタリーの教材も紹介しますが、その効果をこれらの研究が確かめたものではありません。
- 研究検証台帳標本・報告・限界・一次資料を研究ごとに確認できます。
- 観測型FAQの一覧テーマごとの問いと回答の要約を一覧で読みます。